ファエンツァ陶器(アントニエッタ・マッツオッディ・エマルディ) 

1300年代にファエンツァで始まった明るい色の焼物で、1900年代まで時代ごとに変遷している形状、色などの装飾様式を独特のテイストで再現しています。
アントニエッタ・マッツオッティ・エマルディさんは伝統的な製作方法の追従者であるとともに、類まれな描画感覚の持ち主であり、陶器芸術における真の豪奢と栄光を作品によみがえらせました。世界中の最も重要とされるいくつかの美術館の仕事をしています。


■仕事内容 
1300年代にすでにファエンツァで行なわれていた古い七宝焼です。非常に明るい色の材料を使います。鉱物を含む釉薬をかけて白く発色させます。窯で焼かれますが、表面の七宝部分がまだ生乾きのときに絵を書いていくのです。使われる色は天然のもので、全ての作品が手作りです。アルカイック、ゴシック、ルネサンス、1600年代の装飾様式、新古典様式など1300年代から1900年代までの装飾様式を採用しています。形状、色等、ファエンツァのクラシックな様式を再現しており、ファエンツァの陶器博物館に展示されているようなものを忠実に再現しています。1200-1300年代はARCAICO、1400年代はSTILE SEVERO、1500-1600年代はBERETTINO、BIANCHI E COMPENDIARIO、1700年代はGAROFANO、1900年代はMELOGRANOなどの模様があります。作品の多くは、個人の紋章のついた食器、婚礼用の皿などです。これらは、もちろん受注生産ですが、法人から受注する贈答品もあります。

■工房
エマルディさんはこの仕事を30年やっています。1962年に工房を作りました。その時代時代の精神を研究により復活させました。それは色であり、形状です。形状を決め、窯で焼き、装飾するまでのすべての行程を工房で行なっています。1976年からは、いま住んでいるネオゴシック様式の建物を工房に改造しました。工房には現在、3人の職人見習いがいます。工房には直売所もあります。
 手作業において難しいのは、やはり調和のとれた形状にすることです。また、焼くときはたいへんな慎重さを要します。例えば、写真の絵皿は背景が青ですが、ファエンツァの伝統的な形状で、グロテスク模様と呼ばれます。ローマ時代の模様を真似たものです。また白い作品は、ファエンツァの白と呼ばれます。この白い色でファエンツァはヨーロッパ中に有名になりました。マヨリカの装飾様式が根本から変わったのです。ファエンツァはこのようなやわらかい白を発明することにより、デコレーションよりも形状に趣を置くようになりました。3色で簡単に彩色され、形状がより深く研究されるようになりました。真っ白な陶器の真中に小さなデコレーションが入ります。紋章だったり、天使だったり。これをコンペディアリオ様式と言います。大体、1600年代くらいのことです。他のも1700年代初めの作品、新古典様式の作品、樫の木の装飾のなされた作品などファエンツァに来ていただければ、何世紀にもわたるその時代ごとの変化を楽しむことができます。エマルディは、このようなファエンツァの地域の志向を伝えていきたいと思っています。その為に、エマルディは形状、そして色を何年も研究してここに至っています。

■日本の陶器との関係
ファエンツァ陶器は日本の陶器とも大きな繋がりがあります。1400年代終わりにオリエントから入った陶器を、ヨーロッパ人たちは誰もまねたいと考えました。さらに1700年代に入って、インド交易などを中心にして陶器のブームが起きました。しかし陶器の技術はイタリアでは未熟でした。軽くて透明感のあるものを作ることはできなかったのです。ファエンツァの人たちは、これらを買いつけ、マヨリカ焼きのうえにオリエンタルな様式でデコレーションしました。それでガローハノ(GAROFANO)と呼ばれる模様が生まれました。これは、いつしかファエンツァの中でも有名な形式となりました。

■魅力
ファエンツァ陶器の魅力を一言で言えば、「洗練されたエレガントさ」といわれることになりましょう。完成されており、洗練されたエレガンスをもっています。ボーングスト、よい趣味が魅力です。ポルトフィーノには絵皿、コンポート、花瓶、等置いてあります。

*マヨリカ:日本ではマジョリカの呼びかたのほうが有名だと思われます。  イタリアのマジョリカ陶器は、マヨリカ、マイヨリカとも呼ばれ、酸化錫を用いた白色不透明の釉薬がかけられた陶器の総称です。その名称の起原はイタリアで盛んに輸入されたスペイン陶器がマジョルカ島を経由してもたらされたからなどの諸説があります。その後イタリアで模倣に成功し、中世末期からルネサンス時代を通じて、イタリア各地で生産され、ヨーロッパ諸国に広く知られていました。  
初期のマジョリカ陶器は緑や褐色など釉薬の色彩も限られておりまた、絵付けも比較的、素朴でしたが、特に15世紀後半からは、華やかな多色絵付けが行われるようになり、紋様も複雑化、さらに影絵を付けた絵画的な表現がたいへんに高度化することにより、ルネサンス時代の装飾芸術を代表する分野として発展しました。 明るく、あたたかみのある色彩や流麗な描線など造形的な特徴と同時にさまざまな図像や模様にルネサンス時代のイタリアの美意識や精神性が反映され、歴史的な興味をかき立てる魅力を持っています。  
マジョリカ陶器の生産地のなかでも、特にイタリア北部の都市ファエンツァはフランス語で陶器を意味するファイアンスの語源となるほど歴史的に重要な窯であり、今日でもイタリアの中心的窯業都市です。